08年6月末から09年3月までの拍手のログです。
銀魂(土銀、沖神)と笛!(シゲ水)
****土銀****
獣が二匹。
袖まくりした腕に直射日光がひりひり当たる。
日に当たるのは別に好きでも嫌いでもない。
日焼けしにくい自分の肌を気遣ったりもしてやらない。
めんどうだから。
町は夏だ。その中に黒点の様に自分たちは存在して。
「あ、そーいちろうくん」
「…旦那」
夏の日差しの中にぱしっと白いその存在感。
自分たちとは本当に正反対だと思う。
その色も、気構えや後ろ盾やなんかも、全部。
「あっついねえ」
「そうですねィ、上着なんか着てらんねぇですぜ?」
「そりゃそうだな」
からっと銀時は笑うと、目を細めて沖田の後に目をやる。
「副長さんはちゃんと着てるけど?」
「それは、」
「うっせえ、総悟黙ってろ」
「ヘマしたんでしょ」
銀時はにやりと笑う。
声はひやりとしている。
「だって血のにおいするし」
銀時の顔色は変わらない。ただ、土方がそらしていた目をあげて、
静かに双眸を細めた。
ほんの少しの切り傷だ。
沖田どころか土方自身も血の匂いなんてたぶんそんなにわかっていない。
夏の日差しの中で冷たい視線が交差している。
「…先に行ってますぜィ、土方さん」
返事はない。
ちらりと振り返ると、そこには白と黒の獣が、二匹にらみ合って笑っていた。
::::沖神::::
騒がしいので目が覚めた。
「うっさいネ!今日こそ決着つけるアル!」
「今仕事中だって言ってんだろうがィ」
「関係ないアル!」
戸を開けたら、神楽の声が通りから響き渡ってきた。
元気なことだ、朝から。ってもう昼過ぎてるけど。
「おーい神楽ちゃん何してんの。近所迷惑でしょーが」
「銀ちゃん、違うネ!こいつが悪いアル!」
「そんなことねーですぜィ旦那ァ」
二人して、こちらを見上げて声を張り上げる。
もうすでに神楽は沖田の襟首を掴んでおり、
沖田はその桃色の頭をこれでもかと押さえつけている。
「声かけてきたのはそっちアル!」
「傘持ってねえから言ってやったんだろうがィ!ケンカ売ってきたのはそっちだろうが!」
「傘は今取りに行くところだったネ!」
銀時は寝起きの頭をさらにガシガシと乱しながら言う。
「…お前ら、仲いいね」
「仲良くなんかないアル!」
「仲良くなんかねえですぜぃ!」
「……気の合うことで」
銀時がそう呟くと二人はうっと言葉を詰まらせ、もみ合っていた手を止めた。
それを横目に銀時は部屋に戻った。
ただ、思ったのは、ものすごく顔が近いことを、早く二人とも気づいた方がいいということだけだ。
たぶん、今日も暑くなる。
....シゲ水....
相変わらず、
久々に会っても本当に変わっていなかった、というのが最初の感想で、外見は変わったけど、
笑い方はやっぱりあの二人だった。
「ポチ、最近調子どや?」
「聞いてるお前はどうなんだよ」
「いやーたつぼん、俺の試合結果とか見ててくれへんのん?」
「…知ってるよ、ったく」
御飯でも食べに行こう、と誘ってくれたのは水野くんで、
シゲさんもわざわざ京都からこちらにやってきてくれた。
たまたま用事があったから、なんてシゲさんは笑う。
少し傾いた太陽の光が、前を歩くシゲさんの金髪を明るく照らす。
水野くんはその隣で、横顔が少し笑っているのがわかる。
僕はほんの少し後ろから、懐かしく二人に呼びかける。
「ねえ」
「なんや?」
「どうした、風祭?」
二人の顔が夕日と重なって、やわらかく輪郭が揺れている。
「変わらないね、二人とも」
きょとんとした後、笑い合う二人の笑顔がとても好きだと、そんなことを、静かに温かく、思った。
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08.06.??
拍手ログ2。今回は他人から見れば、というのをテーマに。
当人たちはあまり気付いていないものとかそういう。